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消費税の課税事業者をあえて選ぶ場合

この記事の要点

設立初年度に大きな設備投資をするなら、あえて課税事業者になったほうが有利なことがあります。ただし条文には縛りがあり、一度選ぶと簡単には戻れません。

原則:小規模事業者は免除

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら納める義務が免除されます。設立1期目・2期目は基準期間そのものがないため、原則として免税事業者になります(資本金などによる例外あり)。→ 消費税の免税事業者資本金はいくらにするか

インボイス登録をしていると、この免除は使えません。条文が「適格請求書発行事業者を除く」としているためです。→ インボイス登録をするか

設立1期目・2期目は基準期間がないため、原則として免税事業者になります(資本金などによる例外あり)。→ 消費税の免税事業者資本金はいくらにするか

あえて課税事業者になる届出

免税でいられる会社があえて課税事業者になるには、「免除の規定を受けない」という届出書を税務署に出します。効果が出るのは原則として出した期の翌期からです。

ただし設立第1期だけは例外です。事業を開始した日の属する課税期間に出せば、その期から課税事業者になれます。設備投資を1期目にする会社にとって、ここが分かれ目になります。

ポイントは括弧書きです。設立第1期であれば、その期の末日までに出せばその期から課税事業者になれます。通常は「出した期の翌期から」なので、設立期だけ扱いが違います。

選ぶと得になる場面

状況理由
初年度に高額な設備を買う支払った消費税が売上の消費税を上回れば還付になる
輸出中心の事業売上が免税なので、仕入の消費税が還付になりやすい → 海外取引と消費税
赤字続きで仕入が多い同上
還付になるのは「原則課税」で計算した場合です。簡易課税や2割特例を選んでいると還付は生じません。→ 簡易課税を選ぶか2割特例

2年間は戻れない

選んだら2年間は戻れません。正確には、課税事業者になった期の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、やめる届出を出せません(事業を廃止した場合を除く)。

「1年だけ課税事業者になって還付を受け、翌年戻る」はできません。2年目に納税額が出るなら、それも織り込んで判断してください。

「1年だけ課税事業者になって還付を受け、翌年戻る」はできません。2年目に納税額が出るなら、それも織り込んで判断する必要があります。

調整対象固定資産を買うと3年になる

さらに、その2年の間に調整対象固定資産(一定金額以上の建物・機械・ソフトウェアなど)を買うと、縛りが3年に延びます。

設備投資のために課税事業者を選んだ場合、まさにその設備が調整対象固定資産に該当して3年縛りになるという構造です。還付額と、3年分の納税額を並べて比較してください。

設備投資のために課税事業者を選んだ場合、まさにその設備が調整対象固定資産に該当して3年縛りになるという構造です。還付額と、3年分の納税額を並べて比較してください。

インボイス登録との関係

9条1項の括弧書きにあるとおり、適格請求書発行事業者は課税売上高にかかわらず免税になりません。インボイス登録をしている時点で課税事業者です。→ インボイス登録をするか

したがって、この記事の話が問題になるのはインボイス登録をしていない会社です。

判断の順番

1. インボイス登録をするか決める(取引先が課税事業者中心なら登録が前提になりやすい)
2. 登録しないなら、初年度の仕入・設備投資の見込みを出す
3. 原則課税で還付が出るか試算する
4. 2年目・3年目の納税額も並べる
5. 合計で有利なら、設立期の末日までに届出

届出書の名称・提出期限・調整対象固定資産の範囲には細かい規定があります。還付を狙う判断は金額が大きいので、提出前に税理士か税務署に確認してください。→ 税理士に頼むか自分でやるか
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還付を狙って課税事業者を選ぶかどうかは金額が大きい判断です。2年・3年の縛りまで含めて試算する必要があるため、届出の前に確認しておくと安全です。

届出の前に税理士に相談する

この判断は設立期の末日など期限があります。相談から契約まで時間がかかることがあるので、期限から逆算して動いてください。

出典・根拠(条文)

6問で次にやることを出す

出典:消費税法9条1項・4項・6項・7項(e-Gov法令検索で条文を確認)/最終確認日:2026年9月9日